2025/06/29

自費診療専門歯科医院とは?

広島県福山市にあるSlowDentalClinicの院長の東(あずま)です。

当院は「自費診療専門」の歯科医院です。

自費診療専門の歯科医院は全国的にも非常に珍しく、多くの方が「なぜ保険診療を行っていないのか?」と疑問に思われるかと思います。ここでは、当院が自費診療専門という形をとっている理由について、改めてご説明させていただきます。


ほとんどの歯科医院は、「保険診療」を行っています。
保険診療を行うには、歯科医師が「保険医」として登録し、医院自体も「保険診療施設」としての登録が必要です。

保険診療には以下のようなメリットがあります:

  • 治療費の自己負担が1割〜3割と低く抑えられる

  • 全国どこでも、同じ金額で治療が受けられる

私自身も「保険医」としての資格は持っていますが、スローデンタルクリニックではあえて保険診療施設としての登録をしておらず、保険診療は行っていません


保険診療は国が定めた治療費の中で診療を行う仕組みです。しかし、その診療報酬は世界的に見ても非常に低い水準です。そのため、保険診療だけで医院を維持するには、短い時間で多くの患者さんを診る必要があります

結果として、

  • 一人ひとりにかけられる時間が短くなる

  • 「30分待ったのに、5分しか話せなかった」といった経験につながる

  • 丁寧な説明や、納得のいくカウンセリングが難しくなる

  • 十分な時間を確保できず、治療の質にも影響が出る可能性がある

さらに、保険診療施設には「応召義務(おうしょうぎむ)」と呼ばれるルールがあり、患者さんからの診療依頼を原則として断ることができません。人気が出て患者数が増えると、結果的に一人あたりの診療時間はどんどん短くなってしまいます。


こうした状況を避け、患者さんお一人おひとりとしっかり向き合った診療を行いたいという想いから、スローデンタルクリニックは「自費診療専門」という道を選びました。

この選択によって

  • 完全予約制による落ち着いた診療

  • 貸し切り空間でのプライベートな治療

  • 毎回、すべての治療を担当歯科医師が行う

  • 時間をかけた丁寧なカウンセリングと治療

が実現しています。

正直なところ、保険診療と自費診療を併用する方が経営的には安定しやすく、利益も大きくなるかもしれません。しかし、私は「患者さんにとって本当に価値ある診療とは何か」を突き詰めた結果、自費診療専門という選択に至りました。

スローデンタルクリニックは、一般的な歯科医院とは異なる特徴を持つ医院です。そのため、最初は驚かれるかもしれませんが、患者さんにとっての最善を第一に考えた上での答えです。どうかご理解いただければ幸いです。




2025/06/08

治療例 マイクロスコープ+ダイレクトボンディング 前歯の虫歯をできるだけ小さく削り目立たないように治す

広島県福山市にあるSlowDentalClinicの院長の東(あずま)です。


今年初の野菜 ピーマンを収穫しました。
今年はナス ピーマン ミニトマト さやえんどうを植えましたが、ピーマンが最初ですね。
ツヤツヤで美味しそうです。
やはり収穫は嬉しいですね。

さて、今回ご紹介する治療例は、「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」を使い、前歯の虫歯(カリエス)を目立たないように「ダイレクトボンディング」で治療したケースです。

「マイクロスコープ」とは、歯科専用の高性能な顕微鏡のことです。



実際にこの機器を使った治療を受けたことがある方はまだ少ないかもしれませんが、非常に大きなメリットがあります。

代表的なメリットは次の3つです:

  • 視野を大きく拡大できる

  • 明るくはっきりと見える

  • 治療の様子を録画できる

歯は1cm程度と非常に小さく、しかも口の中は暗くて見えづらい場所です。そのため、肉眼だけでの治療には限界があります。たとえば、直径1mmほどの小さな穴の中の状態を、裸眼では正確に把握することは困難です。

しかし、マイクロスコープを使えば、治療部位を大きく拡大して明るく照らしながら確認できるため、「削りすぎない」「削り残さない」など、治療の質を格段に高めることが可能になります。

さらに、治療中の映像は動画として記録することができます。今回掲載した写真も、実際の治療動画からの静止画です。

当院では、治療後に患者さんと一緒にこの動画を見ながら説明を行っています。

  • 治療前はどんな状態だったのか?

  • 虫歯はどれくらいの大きさだったのか?

  • 実際の治療はどのように行われたのか?

  • 治療後はどうなったのか?

といった内容を、視覚的に確認していただけます。

一般的な歯科治療では、治療前後に鏡や写真で見せることはあっても、治療の途中経過を患者さん自身が目にする機会はまずありません。しかし、マイクロスコープを用いることで、それが可能になるのです。

実際にご覧いただくと、多くの患者さんが「こんな風に治療されていたんだ!」と強い関心を持って見ておられます。

では実際の治療写真を見せながら紹介していきますね。

まずは、治療前の口腔内写真です。





今回の症例は、左上の1番目の歯(中切歯)の遠心側、つまり2番目の歯との間にできた虫歯(カリエス)の治療です。

表側からはほとんどわかりませんが、裏側から見ると、黒く変色している部分がうっすらと透けているのが確認できます。




こちらが治療後の写真です。
内側にあった黒い影が消えているのが分かると思います。

ここからは、マイクロスコープで撮影した実際の治療の様子をご紹介します。
映像は動画から静止画を取り出したもので、画質は若干落ちています。


動画から取り出しているので少し画質が落ちます。


緑色のシートは「ラバーダム」です。

治療中に唾液などが入り込まないよう、ラバーダムというゴムのシートを使用しています。
詳しくはこちらをご覧ください
https://www.slowdentalclinic.com/%E3%81%93%E3%81%A0%E3%82%8F%E3%82%8A%E3%83%A9%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%A0

また、隣の歯を傷つけないように、薄い金属のフィルムでしっかり保護しています。

裏側から慎重に削っていくと、すぐに虫歯のある「穴」に到達します。
中はまさに虫歯のイメージ通り、真っ黒な状態です。


この穴の大きさはわずか1mm程度。
しかし、マイクロスコープで拡大すると、細部までしっかり確認しながら処置できます。




細いバーを使い、虫歯の部分だけをピンポイントで削っていきます。



次に使用するのが「う蝕検知液」という、虫歯の部分が青く染まる専用の液体です。
青く染まった部分のみを削り、染まらなかった茶色い部分は削りません。
この段階で、必要な処置だけを行うことで、削りすぎや削り残しを防ぐことができます。


接着力を高めるために表面を酸で処理するエッチング処理です。


接着剤を塗布するボンディング処理です。


液体状のコンポジットレジン(CR)を流し込んでいます。


最後にラバーダムを外し、かみ合わせなどをしっかりチェックして治療終了です。

裏側から最小限の範囲だけを削っているため、表側には一切影響がありません。

マイクロスコープを使った治療は、非常に精密かつ最小限の処置が可能になるという点で、患者さんにとっても大きなメリットがあります。
ただし、使いこなすにはある程度の訓練と経験が必要です。

現在の私の技術では、このようなレベルの精密治療が可能です。
どうぞお気軽にご相談ください。

他の「ダイレクトボンディング」の治療例はここで見れます。
https://eastdental.blogspot.com/search/label/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0


ダイレクトボンディングについてはここに詳しく書いていますので参考にしてください。