少し前に歯の隙間が気になるという相談で患者さんが遠くから来られました。
口腔内の写真です。
右の2番目の歯（側切歯）が生まれながらに無い（先天性欠損）、左の2番目の歯が小さい（矮小歯）のためスペースが余ってしまっているようです。
さて、このような場合は、一番良い方法は、矯正してまず右の1番目を左の1番目にくっつける。そして右２番目にインプラントで歯を作る。左２番目をラミネートベニアで大きくするということになりそうですが、そうすると費用も１００万近くいきそうですよね。
期間も１年はかかりそうです。
（当医院ではインプラントは扱っていませんが治療方法の選択肢として説明させて頂いています。）
説明をすると、そこまでするのはちょっと無理と患者さんから言われました。
他の審美歯科医院で相談した時も、前歯全部削ってブリッジ（つながった被せ物）を入れましょうと提案された時も１００万位だったそうです。
そちらも断られていました。
私個人としてはそれは止めておいて良かったと思います。
で、患者さんの希望と費用のバランスを考えて、真ん中の隙間を埋めて、左の２番目の歯も大きくする。しかも歯を全く削らずにするダイレクトボンディングで行うことを提案しました。
これなら１０分の１の費用、期間も１日です。
しかし、デメリットとして、右２番目の歯が無いところはそのままです。
あと歯と歯の間を埋めるとその分歯が大きくなります。
ということでイメージしやすいようにその場で簡単なデモをしました。
その写真がこれです。
本番では光を当てて硬化させるのですが、デモでは、つけるだけなので、拭けば簡単に取れて元通りです。
患者さんに見せて大きさ・形などの希望をじっくり聞いて完成後のイメージを共有するようにしています。
患者さんにこの状態を見てもらって、家でじっくりと検討してから返事をするようにしました。
しばらくして治療をお願いしたいと連絡があり、ダイレクトボンディングの本番を行いました。
約２時間くらいかけてダイレクトボンディングを行いました。
「ダイレクトボンディング」と言うのは、歯と同じ色の樹脂コンポジットレジン（CR)を歯に詰めていく審美治療で、今回の場合は、全く歯を削ることなく、麻酔もせずに歯の上にレジンを盛っていきました。
左の２番目の歯は表面全体を覆っているので「ダイレクトベニア」と呼ばれたりもします。
もちろん歯と歯の間はフロス（糸ようじ）はスムーズに通るようにくっつけてはいません。
治療後、患者さんに「これで明日から安心して新生活をおくれます」と言ってもらえて嬉しかったです。
今回のようにすべての問題を解決しようとすると費用や時間的な問題で難しい場合もあります。
その場合は、どこで妥協するか、どこまで行うかを考える必要があります。
当医院では、出来るだけカウンセリングに時間を取るようにして、色々な選択肢を提案して納得して頂いてから実際に治療に入るようにしています。
提案する内容によっては他の歯科医院に紹介する場合もあります。
納得せずに治療してもお互い良い結果にはなりませんからね。
ちなみにダイレクトボンディングをする場合は、歯科医院選びに注意が必要です。
ダイレクトボンディングは最初から最後まで歯医者さんがすべて行うことになりますので、歯医者さんのテクニックとセンスが結果に非常に影響します。
治療の前に担当の先生の今までの治療例の写真を見せてもらってから選ぶようにすると後悔が少なくてすむと思います。
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歯と同じ色の樹脂であるコンポジットレジン（CR)を、直接、歯に盛り足していくことで、
むし歯の治療や、歯の形・色をかえたりすることが出来る
審美歯科治療方法「ダイレクトボンディング」
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