以前金属アレルギーについて書きました。
ちょっと補足しておきたいことがあったので書きます。
金属アレルギーのある患者さんで一番歯医者としてどうしようか悩むところが、
メタルコア
です。
神経を取った歯というのは、形や機能をもとに戻すために被せ物を入れます。
その前に被せ物が入るための土台となる部分が必要になります。
それがメタルコアです。
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濃いグレーの部分がメタルコア http://dentalsozai.blogspot.jp/からお借りしました。 |
一応、この土台となる部分の保険治療としては、金属の「メタルコア」と、金属の芯にプラスティックを流し込む「レジンコア」の2種類あります。
どちらが良いとかはここでは触れないでおきます。
さて、このメタルコアを金属アレルギー患者さんから除去すべきなのか?ということです。
色々な先生に話を聞いていると、
「メタルコアは歯の中にあり、金属の被せ物でなければ触れることが無いから大丈夫」
という意見もありました。
でも、大丈夫なのでしょうか?
私も不安に思いつつもこれに関して正確な情報を持っていませんでしたので、アレルギー元は除去ということで、メタルコアは外してきていました。
これに関して、歯科雑誌「補綴臨床」2007年11月号「金属アレルギーへの対処方法」に載っていました。
その中では、メタルコアは除去すべきであると書いています。
一般的に、メタルコアは補綴物の内部にあるからアレルギーの原因にならないのではという考えがあるが、これは誤りである。メタルコアやスクリューピンから成分が溶出してアレルギーを起こした症例が多数ある。特に、銀合金製やステンレス製のスクリューピンは原因となりやすいようである。
例えば、前歯部の金属焼付陶材冠の歯頚部に内部のメタルコアの溶出を認めた例では、溶出した金属の成分を調べるため、金属成分の溶出した歯根部分の組織片を採取し、蛍光X線分析装置で分析したところ、分析結果が得られた。明らかにコア成分の歯肉への溶出が認められ、これが原因でアレルギーを生ずることがある。
臨床ではよく見かける歯肉着色の症例であるが、実はこの症例では患者が、スズアレルギーであったため、クラウン内部にある銀合金(銀・スズ・亜鉛合金)製のメタルコアのスズ成分の溶出によって、アレルギーが生じていた。
と書かれています。
やはり、メタルコアは外すべきなんでしょうね。
でも、メタルコアを外す行為は、歯の根の破折などのリスクはあります。
その説明は患者さんへ必要でしょうね。
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